A. 私が現在学びを深めているAEDP(加速化体験力動療法)では、様々な心理的苦しみは、圧倒的な感情にたった一人で晒され、耐えきれない時に、その感情に蓋をして抑え込んだり感じないようにするところから生じる、と考えられています。例えば、幼い時に、家庭や学校などで理不尽な環境に晒されるなどして、本当は強い孤独感や恐怖、怒りを感じていたとします。しかし、その環境から逃れることは出来ず、何とか適応しなければならないとします。そうした場合、本当は感じているはずの孤独感や恐怖や怒りは、「こんなこと大したことない」と認識することで抑え込まれたり、意識に上らないようにされることで、人は環境に適応できます。これは生きるための合理的なやり方です。しかしこのやり方は代償があります。抑え込んだままの感情は時が過ぎてもそのままなので、大人になり、その環境から抜けることが出来ても、幼い頃に蓋をした感情が出てきそうな場面に遭遇した時に、また抑え込まなければならないのです。そうすると、その場面を考えるだけで不安になったり、過度に緊張したり、避けたり思考に頼りすぎたりと色々な症状が出てくるようになり、多大なエネルギーが必要になってしまいます。セッションでは、様々なお悩みから、そこにどのような感情があるのかご一緒に探索していくことを大切にしています。感情は頭ではなく身体が記憶しているので、セッションでは、身体感覚に注目することもよくあります。
Q. 蓋をしていた感情を見ることに、どのような意味があるのですか。
A. AEDPでは、感情は「変容を引き起こす媒体」と考えられています。感情は本来、それが喜びでも、怒りでも悲しみでも恐怖でも、人間の進化に必要だったもので、人生を豊かにしてくれるものです。例えば、怒りや恐怖は本来闘争や逃走の反応を引き起こし、危険を乗り越えることに役立ってくれるものです。悲しみは過去を終わらせるために必要で、寂しさは人との関係を作るために必要です。これらどのような感情でも、自然に生じる感情に悪いものはありません。苦しいのは、感情を抑え込んでしまうことです。感情について明らかになっていることは、人が心から感じている真の感情は、始まりがあってピークがあり、そして必ず終わりがあるものだということです。セッションでは、抑え込んでいた感情を二人で共有しながら感じ、感情を終わらせていくことを大切にしています。そうすることで、苦しい症状は軽減し、「これが自分だ」という自分に対する確信感や自信が芽生えたり、新しい適応的行動が見つかったりします。お一人では辛すぎて見られない心の部分を見ていくために、このセッションの場はあります。